海と生きる

明治、昭和、平成と、幾度となく大きな津波に襲われてきた気仙沼。
それでも人々は、海の可能性を信じ、海とともに生きる暮らしを築いてきました。
人間は自然の一部であることを学び、たゆまない努力でまちを再起させてきたのです。

こうして海は、「過去・現在・未来をつなぐ」存在として、気仙沼の人々の心のよりどころになっています。

先人たちや今を生きる世代が海とどう向き合い、この先にどのような未来を描いているのか。
そこから、持続可能な世界へのヒントが見つかるかもしれません。
気仙沼の震災伝承のカタチと、SDGsにつながる未来へ向けた取り組みを紹介します。

けせんぬま震災伝承ネットワーク

語り部 近藤 公人さん

階上中学校3年生

語り部 三浦 雅哉さん

震災伝承に込める
気仙沼の決意

震災に学び、次世代へつなぐ。
海からの教えと恵みをまちの力に

東日本大震災で大津波に見舞われた気仙沼では、災害から身を守るすべや命の大切さを後世に伝えるべく、地域を挙げて防災教育や震災伝承に取り組んでいます。その活動の一つが、市民ボランティアから始まった「語り部」。震災前から子どもたちの防災教育に力を入れてきた階上地区にある「気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館」で語り部を務めるお二人の話から、世代を超えて伝承される気仙沼の決意が伝わりました。

民俗学者 川島 秀一 氏

海と生きてきた暮らし

幾度となく津波に見舞われながらも、気仙沼の人々がこの地に住み続けてきた理由とは何か。そして、そこから生まれた精神性が気仙沼にもたらしたものとは何か。海と生きてきたまちの歴史から、今につながる点を紐解きます。

気仙沼ESD/RCE推進委員会 委員長

齋藤 益男さん

気仙沼市・宮城教育大学連携センター 主任運営員

淺野 亮さん

世界につながる
「気仙沼ESD」

地域を探究し、世界とつながる。
“グローカル人材”を育てるまち

「ESD(持続可能な開発のための教育)」とは、持続可能な社会の創り手を育む教育のこと。「森は海の恋人運動」や「スローフード運動」、民間ユネスコ運動が根差し、さらに「世界に開かれた港町」としてグローバルな視点も培われてきた気仙沼では、地域や大学等と連携したESDをいち早く学校教育に取り入れ、先進的な取組みを行ってきました。自らも教員として教育現場に長年携わっていたお二人に気仙沼ESDの歩みと目的を伺うと、子どもたちがいきいきと活躍する気仙沼の未来像が見えてきました。

株式会社臼福本店 代表取締役社長

臼井 壯太朗さん

持続可能な漁業が
目指すもの

水産資源や日本の漁業を
次世代へ引き継ぐために

気仙沼の漁業発展を支えてきたのが、伝統漁法でもある遠洋マグロ延縄漁。世界でもマグロ消費大国として知られる日本ですが、近年は漁船漁業の衰退や担い手不足が深刻化しています。気仙沼に本社を置く漁業会社『臼福本店』の5代目社長・臼井壯太朗さんは、日本の漁業課題の解決を目指すとともに、世界の限りある水産資源を守るために漁業の持続可能性を発信。絶滅危惧種に分類されていた大西洋クロマグロ漁では世界で初めて、海のエコラベル「MSC認証」を取得しました。さらに漁師が働きやすい環境づくり、子どもたちの食育など、水産資源や漁業を次世代へつなぐ挑戦をご紹介します。

唐桑海友会 会長

伊藤 惇さん

環境を守る
漁師の取り組み

先人から受け継ぐ文化財や
海の豊かさを守っていく

リアス海岸特有の起伏に富んだ地形は、気仙沼の海岸線に美しい景観をもたらしています。代表的なスポットの一つが、2011年に国の天然記念物に指定された「九九鳴き浜(くくなきはま)」。この環境を約30年守り続けているのが、漁師OBを中心に結成されている「唐桑海友会」です。会長を務める伊藤 惇さんは、プラスチックごみの危険性を目の当たりにした自身の経験から、海を守るための清掃活動や子どもたちの環境教育に携わるようになりました。世代を超えた交流を通じて、地域の自然・文化を守り育てる取り組みをお伝えします。

海洋プラスチックごみ対策

水産業を基幹産業とする気仙沼では、昔から自然環境を守る精神が根付いており、海洋プラスチックごみ問題にもいち早く対応してきました。海洋・陸上でのプラスチックごみの削減や回収・再資源化の徹底、漁具類の海洋流出の防止、さらには使い捨てプラスチックの使用を減らすライフスタイルの変革などを、官民学の連携によって実践しています。海と生きるまちとして責任を果たすべく、海洋プラスチックごみゼロを牽引する先進地へ。「自然との共生と持続可能性」を体現し、日本・世界の未来につなげます。

RIASWOOD LAB. KESENNUMA代表

小柳 元樹さん

海と山をつなぐ
ものづくり

木工品を通じて、循環型社会を
目指す気仙沼の魅力を全国へ

東日本大震災以降、他地域から気仙沼に移住し、それぞれのスキルを生かした活動を行う若者が多く存在しています。そのひとりが、「RIASWOOD LAB. KESENNUMA」を立ち上げた小柳元樹さん。「海と山をつなぐ木工」をコンセプトに、スローシティに取り組む気仙沼の文化に寄り添った木工品を生み出しています。移住者ならではの視点を生かしながら、ものづくりを通して地域の誇りを発信しようとする思いを聞きました。

気仙沼地域エネルギー開発株式会社

代表取締役社長 高橋 正樹さん

地域おこし協力隊員
(気仙沼地域エネルギー開発株式会社所属、
リアスの森応援隊)

鈴木拓樹さん 小石原武志さん

地域の循環を生み出す
エネルギー開発

エネルギーの地産地消と
山・里・海の循環を先導するまちへ

持続可能な社会を目指す気仙沼では、東日本大震災の教訓からネルギーの地産地消を推進しています。気仙沼は面積の約7割が山林であることから、地域資源の間伐材を利用した日本で初めての「木質ガス化バイオマス発熱電」の開発に挑みました。発電事業を立ち上げた、気仙沼地域エネルギー開発株式会社の高橋正樹さんと、同社で地域おこし協力隊として活躍する鈴木拓樹さんと小石原武志さんにインタビュー。環境負荷の少ない発電システムを構築・運用すると同時に、地域や日本の林業が抱える課題にも向き合う3人の視点から、地域エネルギーと新しい林業の取り組みを見つめます。

カーボンニュートラルから
持続可能な社会の実現へ

今、日本を含む120以上の国と地域が、「2050年カーボンニュートラル」の実現を表明しています。元来、自然との共生によって持続可能性を高めてきた気仙沼では、世界に先駆けて脱炭素化に向けた取り組みを進めてきました。産業・教育・経済・復興など、分野の垣根を越えて地域全体で推進する取り組みの一部を紹介しながら、カーボンニュートラルの先に目指す気仙沼の未来に迫ります。