気仙沼ESD/RCE推進委員会委員長
齋藤 益男 さん

気仙沼市・
宮城教育大学連携センター主任運営員

淺野 亮 さん

世界につながる

「気仙沼ESD」

「学校間、地域と学校、産学官民が協働し、探究学習を推進」

淺野さん

地域の多様性を尊重した「気仙沼ESD」は、次第に全国的にも国際的にも評価されるようになります。2005年には気仙沼市を含む仙台広域圏が、国連大学の推進する「ESDの地域拠点(RCE)」として世界で最初の7つに認定。さらに、2008年から気仙沼市内のすべての小・中学校、2つの高等学校、2つの幼稚園(当時)が相次いで「ユネスコスクール」に認定され、国内外のユネスコスクールや他地域との交流学習を深めることが可能になりました。

世界へ視野を広げると同時に、気仙沼ESDの出発点である「地域を見つめ、地域をつなぐ」教育にも力を注いできました。市内の学校間、学校と地域、産学官民などを縦横につなぎ、協働的な学びをより促進。気仙沼ならではの海洋教育においても、「海と生きる気仙沼」の水産業や海の生態系、地球温暖化、海洋汚染、防災・減災、伝統文化継承など、地域や大学等との連携による横断的な探究学習を通して、物事への理解を深めています。

公民館との連携・協働による「定置網起こし」を体験する小学生

齋藤さん

この気仙沼ESDの成果を数値で測るのは難しいですが、子どもたちの意識や行動に着実につながっていることは確かです。たとえば東日本大震災の時には、子どもたちが率先して避難所運営や慰問コンサートなどのお手伝いをしました。そして震災から10年を経た今も、震災伝承の語り部活動に取り組んでいる中高生もいます。

震災直後、被災者のための炊き出しに協力する中学生

海外から訪れた方々へ英語で「語り部」活動をする中・高校生

淺野さん

私が校長を務めていた鹿折小学校では、当時2年生だった子どもたちが主体的に「小さなユネスコ隊」を結成しました。小学生3人でSDGs達成のポスターをつくることから始まり、開発途上国の子どもたちを支援する活動や被災地支援のための街頭募金を行うなど、上級生や地域の人たちも巻き込みながら活動の輪を広げています。

地球規模の問題を自分のこととして捉え、自分の身近なところから他の人たちと協力して取り組み、自分自身も社会も変えていく。ESDが目指す価値観と人間性が、しっかりと育まれていることがわかる事例だと思います。

市内の施設で、被災地や発展途上国への募金活動をする「小さなユネスコ隊」