RIASWOOD LAB. KESENNUMA代表
小柳 元樹 さん
海と山をつなぐ
ものづくり
「木材とスキルを生かし、“循環する社会”を目指す」
RIASWOOD LAB. KESENNUMAで製作しているのは木の器やフォーク、スプーン、まな板、ブローチなどの小物類のほか、工房から搬出可能な大きさの木製家具。製作に使用している木の種類はさまざまですが、「地域のつながりの中でものづくりをすることが大切」と考えているので、ちゃんと出どころがわかる地元の木を使うようにしているんです。これは、仮設住宅の支援活動をしていた時に本吉地域の森林組合の方から提供してもらった木材でウッドデッキを作った経験から意識するようになりました。
気仙沼にたくさんある地域資源の中で「木」 に着目したのには、ほかにも理由があります。気仙沼が目指す未来が「循環する社会」 だと気付いたからです。支援活動を通して、気仙沼がスローフード運動やスローシティに向けた取り組みを推進していることや、「森は海の恋人」運動に代表されるように海も山も大切にするまちだということを学びました。そんな気仙沼のために私ができるのは、前職のスキルを生かせる木を使って海と山の豊かさをつなげる取り組みだと思ったのです。
木の魅力は「質感」 にあると思います。人の生活に馴染む質感です。そうした魅力に加えて、“早くて安くて便利”を求める今の時代に生まれた海洋プラスチックゴミ問題を緩和することができるのも木だと思っています。プラスチックの代用品を木でつくることができれば、気仙沼の豊かな海を守ることができるはず。僕ら世代の木工家はみんな、そうしたことも考えながらものづくりをしています。今後の循環型社会や持続可能な社会にとって、木はとても大切な存在になるはずなんです。