唐桑海友会 会長
伊藤 惇 さん

環境を守る漁師の取り組み

「海洋教育や世代間交流を通じ、地域の自然や文化を未来へつなぐ」

そもそも唐桑海友会は、漁師同士の情報交換や後継者育成を目的として50年前に発足しました。1993年度には会員数最大の180人にのぼったものの、2021年度は51人に減少。以前は漁師経験者のみで構成されていましたが、今は海を守る活動に興味がある方なら漁業未経験でも大歓迎です。

長年の活動が記録された唐桑海友会の周年記念誌

毎年多くの人が集まる「リアス牡蠣まつり唐桑」

現在の活動は九九鳴き浜や三陸復興国立公園の清掃のほか、唐桑地域内にある唐桑小学校のカキ養殖体験や中井小学校の自然学習のサポート、市内の面瀬小学校や鹿折小学校の漁船見学の受け入れ、さらには「リアス牡蠣まつり唐桑」をはじめとする地域行事のお手伝いなど、自然や文化を次世代につなぐために交流を図っています。

気仙沼のキャッチフレーズにもある通り、「海と生きる」という気持ちはずっと大事にしたいもの。人間が自然を制覇しているのではなく、私たちは自然に生かされているのだと思います。海からいただけるものはありがたくいただき、時に海は怖いものであることも忘れないでほしいです。子どもたちの海洋教育を通じて、自然への畏敬の念も育てていければと考えています。

また震災後には、唐桑地域に若い世代の移住者が増えました。定住を決めた理由を聞けば、「豊かな自然と人情味があるから」と返ってくることが多いです。ここに長く暮らす私たちが知っている自然の素晴らしさ、あるいは地元で語り継がれてきた歴史や地名の由来など、シニア世代から若い世代に伝えられることがあればうれしいですし、若者たちのアイデアや実行力をまちづくりに生かしていくことも重要だと思っています。世代を超えた交流や自然との関わりを大切にしながら、地域全体で未来を育んでいきたいです。

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