株式会社臼福本店 代表取締役社長
臼井 壯太朗 さん

持続可能な漁業が

目指すもの

「持続可能な漁業を目指し、国際的な海のエコラベル『MSC認証』を取得」

写真:太田拓実

まずは持続可能な漁業とIUU漁業の魚を差別化するため、厳正な環境規格をクリアした天然水産物に与えられる「MSC認証」の取得にトライしました。臼福本店の漁船で獲ったクロマグロには、一匹ずつ通し番号入りの電子タグを取り付けています。漁獲した場所の経緯度や日付をデータ化して管理し、洋上から水産庁へ毎日報告。当船に割り当てられた漁獲量の遵守も徹底しています。

漁獲したクロマグロに一匹ずつ通し番号入りの電子タグとシールを取り付け、資源管理を徹底

こうした取り組みや資源管理への配慮が認められ、2020年8月に大西洋クロマグロ漁世界初となるMSC認証を取得。認証までの道のりは長く険しいものでしたが、世界中で持続可能な漁業で獲られた魚のみを使用するホテルや飲食店が増えていることもあり、たくさんの方に私たちの取り組みを知ってもらえるきっかけとなりました。2021年9月には大西洋クロマグロが絶滅危惧種から外れたというニュースが届き、これまで臼福本店が世界に率先して行ってきた資源管理も改めて国内外で評価されています。

世界中から注目されている臼福本店のクロマグロ

さらに持続可能な漁業に向けて、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」を実行。漁業をより魅力的な産業へ変えるため、震災後に新しいマグロ船を2隻建造しました。気仙沼の経済循環にもつながるよう、新船は地元の造船所に依頼。船のデザインに関しては、東京2020オリンピックの聖火台も担当したnendoの佐藤オオキさんと、内装デザインで有名な乃村工藝社の青野恵太さんにお願いしました。漁師さんたちにとって船は動く工場であり、生活する家ですから、乗組員ファーストで暮らしやすい船内環境に。インターネットの高速通信も導入し、遠く離れた家族とのテレビ電話やSNSによる情報発信が可能となりました。乗りたくなる漁船の実現によって、漁業の担い手が増えることを期待しています。

新しく造船した第1昭福丸の船内

新しく造船した第1昭福丸の船内